
高血圧が気になる方にとって、毎日の食事で意識したい習慣の一つが「減塩」です。
食塩を摂りすぎる食生活は血圧に影響することが知られており、厚生労働省のe-ヘルスネット「高血圧」でも、高血圧の予防・改善に向けた生活習慣として減塩が紹介されています。
また、複数の無作為化比較試験をまとめたシステマティックレビュー・メタ解析(PubMed)でも、食塩摂取量を減らすことで血圧が低下することが報告されています。
この記事では、高血圧が気になる方が知っておきたい食塩摂取量の目安と、普段の食事で実践しやすい減塩方法を紹介します。
高血圧が気になる人は「1日6g未満」が目安
日本高血圧学会では、高血圧の人の食塩摂取量について、1日6g未満を目標としています。
詳しくは、日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン」で確認できます。
厚生労働省のe-ヘルスネットでも、高血圧の予防・改善に向けた減塩目標として6g未満が示されています。
一方、高血圧ではない人を含む一般成人については、「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で、生活習慣病の発症予防を目的とした食塩相当量の目標量が設定されています。
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男性:7.5g/日未満
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女性:6.5g/日未満
高血圧の人では、さらに少ない6g未満が目標になります。
ただし、これは「今日から食塩をほとんど摂らないようにする」という意味ではありません。
毎日の食事から少しずつ食塩を減らし、無理なく続けられる方法を見つけることが大切です。
日本人は食塩をどのくらい摂っている?
厚生労働省の令和6年国民健康・栄養調査によると、食塩摂取量の平均値は9.6g/日でした。
この値は、この12年間では最も低い値となっていますが、健康日本21(第三次)の目標値である7g/日よりは依然として高い状況です。
詳しくは、厚生労働省「令和6年国民健康・栄養調査」で確認できます。
つまり、日本人全体としても食塩摂取量を見直す余地があります。
特に高血圧が気になる方は、まず普段どのような食品や調味料から食塩を摂っているのかを確認してみましょう。
減塩は「調味料を減らす」だけではありません
減塩というと、しょうゆや味噌などの調味料を減らすことを思い浮かべる方も多いでしょう。
もちろん調味料を見直すことは大切ですが、それだけではありません。
食塩は、次のような食品にも含まれています。
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漬物
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ハム・ベーコンなどの加工肉
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練り製品
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インスタント食品
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麺類
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加工食品
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惣菜
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外食
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調味料
そのため、「調味料を減らしているから大丈夫」と考えるのではなく、1日の食事全体で食塩が多くなっていないかを見ることが重要です。
今日からできる減塩方法
1.しょうゆやソースを「かける」より「つける」
料理にしょうゆやソースを直接かけると、使用量を意識しにくくなることがあります。
小皿に少量を入れて、料理をつけて食べる方法なら、使用量を意識しやすくなります。
すべての料理を薄味にする必要はありません。
まずは、普段たくさん使っている調味料から見直してみましょう。
2.味噌汁は具を増やして汁を減らす
味噌汁を毎日飲む場合は、具材を増やして汁の量を減らす方法があります。
野菜やきのこなどを多めに入れると、食べ応えを保ちながら汁の量を調整できます。
厚生労働省も、具だくさんの味噌汁などを減塩の工夫として紹介しています。
3.麺類のスープを全部飲まない
ラーメン、うどん、そばなどの麺類は、スープや汁を残すことで食塩摂取量を減らせます。
日本高血圧学会も、めん類の汁やスープを残すことを減塩方法の一つとして紹介しています。
「全部飲まない」という小さな習慣から始めるのも一つの方法です。
4.漬物を食べる量や頻度を見直す
漬物は種類によって食塩を多く含む場合があります。
毎食のように食べている場合は、量や頻度を見直してみましょう。
食べる場合も、少量を楽しむという方法があります。
5.加工食品の「食塩相当量」を確認する
食品を購入するときは、パッケージの栄養成分表示を確認しましょう。
特に見るポイントは**「食塩相当量」**です。
同じような商品でも、食塩相当量には違いがある場合があります。
商品を選ぶときに表示を比較する習慣をつけると、減塩につながる選択をしやすくなります。
詳しくは、消費者庁「栄養成分表示について」も参考になります。
6.だしや酸味、香辛料を活用する
減塩すると「味がしない」と感じることがあります。
その場合は、塩分を増やすのではなく、
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だし
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酢
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レモンなどの酸味
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香辛料
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香味野菜
などを利用して、塩味以外の風味を加える方法があります。
厚生労働省も、だし、香辛料、酸味などを活用する方法を紹介しています。
7.外食や惣菜でも食塩量を意識する
自炊だけでなく、外食や惣菜を利用するときにも減塩を意識しましょう。
例えば、
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汁物を残す
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調味料を追加しすぎない
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食塩相当量の表示がある商品を選ぶ
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味の濃い料理が重ならないようにする
といった工夫があります。
「外食だから減塩できない」と考える必要はありません。
その日の食事全体を見ながら、選び方を工夫してみましょう。
減塩は「続けられる方法」を選ぶことが大切
減塩を始めるときに、いきなりすべての食事を大きく変える必要はありません。
例えば最初は、
「麺類の汁を残す」
だけでも構いません。
慣れてきたら、
「しょうゆを直接かけずにつける」
「食品表示の食塩相当量を見る」
など、できることを一つずつ増やしていきましょう。
減塩は、一時的に頑張るよりも、日常生活の中で無理なく続けることが重要です。
減塩によって血圧はどう変わる?
「実際に減塩すると血圧は下がるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
これについては、複数の臨床試験をまとめた研究があります。
2020年にBMJで公表されたシステマティックレビュー・メタ解析では、食塩摂取量を減らす介入によって、血圧が低下することが報告されています。
「Effect of dose and duration of reduction in dietary sodium on blood pressure levels」PubMed
また、2021年に公表された実験研究のメタ解析では、85件の試験を対象に検討した結果、食塩摂取量と収縮期・拡張期血圧の間に、おおむね直線的な関係が確認されました。高血圧の人では、減塩による血圧低下がより大きい傾向も報告されています。
さらに、2026年に公表された無作為化比較試験のシステマティックレビュー・メタ解析では、減塩介入によって家庭収縮期血圧が平均3.66mmHg低下し、家庭拡張期血圧も平均1.40mmHg低下したと報告されています。
「Effects of sodium reduction interventions on home and morning home blood pressure」PubMed
ただし、研究で確認された平均的な効果が、そのまま一人ひとりに同じように現れるとは限りません。
血圧には、食塩摂取量だけでなく、体重、運動、飲酒、睡眠、遺伝的要因など複数の要素が関係しています。
そのため、「減塩すれば必ず血圧がこの数値まで下がる」と考えるのではなく、高血圧対策の一つとして減塩を継続することが大切です。
カリウムを含む食品も意識する
高血圧対策では、食塩を減らすことに加えて、野菜や果物などに含まれるカリウムを含む食品を取り入れることも重要です。
厚生労働省によると、カリウムにはナトリウムの排出を促す作用などがあり、血圧低下につながることが知られています。
ただし、腎臓の機能が低下している方などでは、カリウムの摂取制限が必要になる場合があります。
医師から食事について指示を受けている場合は、その指示を優先してください。
「減塩=味気ない食事」ではない
減塩を続けるためには、味を我慢し続ける必要はありません。
だし、酸味、香辛料、香味野菜などを使うことで、塩分を抑えながら料理の風味を楽しむことができます。
また、減塩食品や減塩調味料を上手に利用する方法もあります。
重要なのは、「何か一つの食品だけで高血圧対策をする」のではなく、食事全体のバランスを見直していくことです。
まずはこの3つから始めよう
減塩を始めたい方は、まず次の3つを意識してみましょう。
今日からできる3つの習慣
1.麺類の汁を残す
2.しょうゆやソースを直接かけず、つけて使う
3.食品の「食塩相当量」を確認する
この3つなら、特別な道具を用意しなくても始められます。
慣れてきたら、減塩調味料を取り入れたり、加工食品や惣菜の選び方を見直したりするのもよいでしょう。
まとめ
高血圧が気になる方にとって、減塩は重要な生活習慣の一つです。
日本高血圧学会では、高血圧の人について1日6g未満の食塩摂取を目標としています。
一般成人については、男性7.5g未満、女性6.5g未満が生活習慣病予防のための目標量です。
一方、厚生労働省の令和6年国民健康・栄養調査では、日本人の食塩摂取量の平均値は9.6g/日でした。健康日本21(第三次)の目標値7g/日を上回っています。
研究でも、減塩による血圧低下が確認されています。
減塩と血圧に関するシステマティックレビュー・メタ解析(PubMed)
まずは、
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麺類の汁を残す
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調味料の使い方を見直す
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食塩相当量を確認する
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だしや酸味、香辛料を活用する
など、無理なく続けられる方法から始めてみましょう。
減塩は、一度にすべてを変える必要はありません。
毎日の食事の中で、続けられる工夫を一つずつ増やしていくことが大切です。
医療情報について
この記事は、高血圧の予防・改善に関する一般的な健康情報を提供することを目的としています。
血圧が高い状態が続いている場合や、医療機関で治療を受けている場合は、自己判断で治療や薬を変更・中止せず、医師や薬剤師に相談してください。
腎臓病などで食事制限を受けている方は、一般的な減塩・カリウム摂取の情報がそのまま当てはまらない場合があります。
参考資料
公的資料・学会資料
研究論文
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Huang L, et al. Effect of dose and duration of reduction in dietary sodium on blood pressure levels: systematic review and meta-analysis of randomised trials. BMJ. 2020.
PubMed -
Filippini T, et al. Blood Pressure Effects of Sodium Reduction: Dose-Response Meta-Analysis of Experimental Studies. Circulation. 2021.
PubMed -
Effects of sodium reduction interventions on home and morning home blood pressure. 2026.
PubMed